「医師から家族に知ってほしいこと~本人・家族と共に歩むために~」
講師:太田 晴久 先生(昭和大学発達障害医療研究所所長)
日時:令和5年9月2日(土)14:00~16:00
9月2日(土)の午後、東風の会主催の太田晴久先生による標記の講演会が烏山区民センターで開催されました。
100名入る3階の会議室は満員、発達障害を少しでも理解したいと思う方々で熱気にあふれていました。あかね会から6名が参加させていただきました。
エネルギッシュな先生は、語り口も優しく発達障害の当事者や家族のことを深く理解してくださっている雰囲気がにじみ出ており、盛りだくさんな内容でしたが、あっという間の2時間でした。
テ-マが「医師から家族に知ってほしいこと」とあるように、
発達障害とはどんな障害か、について詳しく説明
発達障害は幼少期より発達の遅れが生じるもので、自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHDに分類されます。
・ASDの主症状は社会的コミュニケーションと社会的相互作用の障害と興味の限局性・常同性があります。また、限定した興味と反復行動です。
「お風呂を見てきて!」と言われたとき、普通は見に行って「そろそろわきそうよ」などと答えるのに対し、ただ見てきて、「見てきたよ」と答えるのみなど。こだわりが強い面もあります。
ADHDの主症状は不注意と多動・衝動性です。
注意力が欠如しているため、気が散りやすく、ミスや失敗を繰り返すことが多いです。ADHDの場合薬物が使用されることもあります。
ASDも ADHDも能力のアンバランスが原因ですが、何もできないのではなく、優れた特徴をそれぞれに持っています。
発達障害の原因は、やはり「脳」
このあと、「発達障害への対処の基本」、「発達障害に向いている職業や仕事内容」、「就労支援」、「ひきこもり」、「障害受容とは」、「障害告知」、「自己理解へ」、「発達障害と親亡き後」 と多くの内容をお話ししていただきました。
最後に「意思決定支援~親亡き後を見据えて~」については、①本人への支援は、自己決定の尊重に基づき行うことが原則である、②職員等の価値観においては不合理と思われる決定でも他者への権利を侵害しないのであれば、その選択を尊重するよう努めたほうがよいということでした。
「よくなるとは?」どういうことか について「障害特性は続く」が、「今の困りごとは減る」と話されました。
同じ「脳」の障害であっても、統合失調症とはだいぶ違うなと感じましたが、似ている部分もいっぱいあるなとも思いました。
参加いただいた方からの感想
A.Hさん
支援の職場にいて発達障害の診断の方は多く、その対応が難しいと感じていました。
今日の講演で、二次障害のお話があったり、身体の症状(pro-など)があったりで・・・なるほど!! と思い当たるところもありました。
家族の方は大変かと思いますが、家族のような支援者になれるといいなあと改めて思いました。
とても貴重ないお話でした。ありがとうございました。
M.Oさん
発達障害の本は何冊か読んでいましたが、先生の講演を聞いたのは初めてでした。
資料を読むだけでなく、先生の生の言葉を聞けて良かったです。 今回の資料には新たに知った事項もあり、とても勉強になりました。
また、弟が通院している病院の先生のお話でしたので、講演内容を聞きながら、安心感も生まれました。今日はほんとうによかったです。ありがとうございました。
K.Nさん
最近、私どもが作業所にも発達障害と診断された方が増えて、統合失調症とは違う症状にとまどうことが多く、どのように理解し接したらよいのか知りたくて参加しました。
太田先生のお話で、発達障害特有の症状を知り、目からうろこのものもありました。
統合失調症には治療薬も多く、研究が進んで症状が軽くなった人も多いのに比べ、発達障害の治療は歴史も浅く周りの理解が最も大事なことか分かりました。
利用者の方々の生き苦しさを少しでも理解し、共に生活していけるようになりたいと思いました。