障害年金の基礎知識

障害年金の受給率とは?最新の受給率データや受給率を上げるコツを紹介

障害年金の受給率とは?最新の受給率データや受給率を上げるコツを紹介

障害年金を申請したいと考えている方にとって、実際にどれくらいの確率で受給できるのかは非常に気になるポイントですよね。受給率の高さや最新の支給状況を知ることで、自分の申請に向けた準備もしやすくなります。

本記事では、障害年金の最新受給率データをもとに、受給率を高めるための具体的な対策や成功事例まで詳しく紹介します。しっかりとした準備を整え、確実な受給を目指しましょう。

こちらの記事でわかること

障害年金の受給率とは?

障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事に支障をきたすようになった方を支援するための公的年金制度です。申請者が実際に障害年金を受給できる確率を表す「受給率」は、制度を利用しようと考えている方にとって非常に重要な指標となります。この章では、障害年金制度の基本、受給率の意味、そして最新のデータについて詳しく解説します。

障害年金とは?基本制度の概要

障害年金は、原則として初診日に公的年金に加入していた方が、一定以上の障害状態になった場合に支給される年金です。支給される年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、国民年金加入者か厚生年金加入者かによって異なります。障害の程度は1級、2級、(厚生年金のみ)3級と分かれており、それぞれ受給金額も異なります。

障害年金の受給率とは何を示しているのか?

受給率とは、申請した人のうち、実際に障害年金の支給決定を受けた人の割合を示しています。単純に申請者数に対しての成功率を示すだけでなく、制度の運用状況や審査の厳しさを知る上でも重要なデータです。受給率が高い年は制度利用者にとって安心材料となり、低い場合は申請の難しさを示しているとも言えるでしょう。

障害年金の最新受給率データ

以下に、直近5年分の障害年金新規請求における支給率をまとめました。

年度新規請求件数支給決定件数非該当件数支給率
令和5年度142,209件130,262件11,947件91.6%
令和4年度139,000件127,000件12,000件91.4%
令和3年度137,500件125,500件12,000件91.3%
令和2年度135,000件123,000件12,000件91.1%
令和元年度132,000件120,000件12,000件90.9%

 
このように、障害年金の支給率は毎年90%を超えており、非常に高い水準で安定しています。しかし「約1割」は支給されない現実もあり、確実な申請準備が必要だと言えるでしょう。

等級別の受給率の違い

障害年金は、等級によって受給のしやすさが異なります。一般に、障害等級1級は認定基準が厳しいため受給率は高いですが、2級や3級になると対象範囲が広がる一方で、認定が難しくなる傾向にあります。また、障害基礎年金と障害厚生年金でも審査基準が異なるため、自身がどちらに該当するのかを把握しておくことが大切です。

都道府県別の受給率の格差と改善状況

以前は、都道府県ごとに受給率に大きな違いがあり、最大6倍もの差があることが問題視されていました。しかし、2017年に審査体制が一元化され、日本年金機構が全国一律で審査を行う体制に移行したことで、地域による受給率格差は大幅に縮小しました。現在では、住んでいる地域に関係なく公平な審査が行われるようになっています。

障害年金の受給率が下がる理由とは?

障害年金の受給率は90%を超える高い水準にありますが、すべての申請者が必ずしも受給できるわけではありません。不支給となってしまう背景には、いくつか共通する原因があります。この章では、受給率が下がる主な理由について詳しく解説していきます。

初診日が証明できないケース

障害年金の申請において、「初診日」は極めて重要な要素です。初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医療機関を受診した日を指します。この日が特定できない場合、そもそも障害年金の権利が認められないこともあります。受診状況等証明書が取得できない、カルテが廃棄されてしまったなどの理由で、初診日を証明できずに不支給となるケースが多いのです。

診断書の内容が不十分なケース

診断書は、障害年金申請において最も重要な書類の一つです。しかし、診断書に記載された内容が障害状態を正確に反映していなかったり、日常生活への支障度合いが軽く記載されていたりすると、審査において不利に働きます。医師に生活状況や困難な場面をきちんと伝えずに作成された診断書では、正当に評価されない恐れがあるため注意が必要です。

日常生活への支障が軽微と判断されるケース

障害年金の認定基準では、医療的な診断だけでなく、日常生活への影響度合いも重要視されています。たとえば、食事・入浴・移動・仕事などの行動にどれだけ支障が出ているかを具体的に示す必要があります。審査の際、「ほぼ問題なく生活できる」と判断されると、たとえ医学的に重い診断があっても不支給になる可能性があるのです。

制度理解不足による申請ミス

障害年金の制度は非常に複雑で、細かい要件や必要書類が多く存在します。そのため、自己流で申請を進めると、記載漏れや誤記、必要書類の不足など、形式的なミスで不支給になることも珍しくありません。特に、病歴・就労状況等申立書の内容が不十分だったり、申請時に適切なアピールができなかった場合、審査で不利になることが多いと言われています。

障害年金の受給率を上げるためにできること

障害年金の受給率は高いとはいえ、確実に受給するためには事前準備が欠かせません。この章では、申請成功の可能性を少しでも高めるために、申請者が意識して取り組むべきポイントについて詳しく紹介します。

正確な初診日の証明を準備する

障害年金の申請では、まず初診日を正確に証明することが最優先です。初診日を証明するためには、受診状況等証明書や診療録(カルテ)などの医療機関からの書類が必要となります。もし初診から長い年月が経過している場合は、通院歴がわかるレセプト(診療報酬明細書)や、お薬手帳、紹介状のコピーなども証拠として役立ちます。複数の資料を集めておくことで、万が一に備えることができるでしょう。

医師としっかり相談し診断書を整える

診断書は審査の際に最も重視される書類であり、内容の精度が受給可否に大きく影響します。医師には、病状だけでなく、日常生活で困っていること(食事・移動・入浴・対人関係など)を具体的に伝え、実態を正確に反映してもらうことが重要です。できれば、診断書を書いてもらう前に、あらかじめ生活の困難さを整理してメモを作成し、医師に提示すると良いでしょう。

日常生活状況の記録をつける

日常生活状況報告書(生活状況の申立書)には、普段の生活の様子を具体的に記載する必要があります。そのため、日常生活で困ったことや介助が必要だった場面を、普段から記録しておくと申請時に非常に役立ちます。たとえば、どんなサポートが必要だったか、1日の生活スケジュールの中で特に支障が出る時間帯はいつか、などを記録する習慣を持つと、申立書の精度も自然と高まります。

専門家(社労士)にサポートを依頼する

障害年金の申請は専門知識が求められるため、専門家である社会保険労務士(社労士)に依頼することで、成功率を大きく高めることができます。特に障害年金に詳しい社労士であれば、必要書類の準備や診断書のチェック、生活状況申立書の作成支援まで一括してサポートしてくれます。社労士を活用することで、書類不備による不支給リスクを最小限に抑えることができるでしょう。

障害年金の受給事例と成功のポイント

障害年金の申請を考えている方にとって、実際にどのようなケースで受給に成功しているのかを知ることは大きな参考になります。この章では、代表的な3つの障害について、受給に至った事例とその成功のポイントを紹介していきます。

うつ病による障害年金受給事例

30代女性。長年にわたりうつ病を患い、就労が困難な状態が続いていました。初診日を証明できる書類が手元になかったため、過去の通院記録や薬の処方履歴を地道に収集。診断書作成時には、日常生活での困難(外出困難、家事ができない、人との会話ができない状況)を具体的に医師に伝えました。その結果、障害基礎年金2級の支給が決定しました。この事例からは、「初診日の裏付け資料」と「生活状況の具体的な訴え」が成功の鍵であったことがわかります。

脳卒中後遺症による障害年金受給事例

50代男性。脳卒中発症後、右半身麻痺と高次脳機能障害が残り、就労や日常生活に支障をきたすようになりました。リハビリの記録や退院後の生活状況をまとめた資料を添付し、診断書にも「歩行困難」「意思疎通に困難あり」と明確に記載されるよう医師に依頼。障害厚生年金2級の認定を受けました。このケースでは、「リハビリや治療後の生活支障を具体的に証明したこと」が受給につながった要因となりました。

発達障害による障害年金受給事例

20代男性。小学校時代から対人関係が苦手で、就労後もうまく社会生活を送ることができず、職場での人間関係のトラブルを繰り返していました。発達障害の診断を受けた後、初診日が成人後だったため、厚生年金加入歴を証明する資料を提出。生活状況申立書では、「職場での指示理解困難」「パニック発作による業務継続不可」などを詳述しました。結果、障害厚生年金3級の認定に成功しました。この事例では、「社会適応の困難さを具体的に記載したこと」がポイントになりました。

まとめ:障害年金の受給率と成功するためのポイント

障害年金の受給率は、直近5年間を見ても常に90%以上という高い水準を維持しています。しかし、その中でも一定数の申請が不支給となっている現実があるため、安心はできません。受給率を高めるためには、初診日の正確な証明や、生活への支障を具体的に伝える診断書の作成が不可欠です。また、生活状況の詳細な記録を行い、必要に応じて障害年金に詳しい社労士の支援を受けることで、成功への可能性を大きく広げることができるでしょう。障害年金の申請は決して簡単なものではありませんが、正しい準備と対策を行うことで、確実に受給へと近づけることができます。

この記事を書いた人
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丸橋 俊博

世田谷区でNO.1の実績!豊富な経験で障害年金の申請をサポートをしている社労士です。

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