障害年金の基礎知識

障害年金の不支給が問題に!自分がそうならないように対策する方法

障害年金の不支給が問題に!自分がそうならないように対策する方法

障害年金の申請に臨んだものの、「不支給」という結果に悩む方が増えています。実は、申請内容のわずかな不備や、診断書の記載ミス、初診日の証明不足など、ちょっとしたミスが不支給の原因となるケースが多く見られます。

本記事では、障害年金が不支給になる背景や、実際にあった不支給例、そして自分がそうならないために今できる具体的な対策までをわかりやすく解説します。

こちらの記事でわかること

障害年金の不支給が増加している背景とは?

ここでは、障害年金の不支給が増えている理由について、最新の統計や社会的な背景も交えながら詳しく解説していきます。これから申請を考えている方にとって、現状を正しく知ることは非常に重要です。

最新の統計データから見る不支給の現状

近年、障害年金の不支給件数が増加傾向にあることが報告されています。厚生労働省が発表したデータによると、特に精神疾患による申請で不支給になる割合が高くなっている傾向が見られます。背景には、審査基準の厳格化や、申請書類・診断書における記載ミスや不備の増加が影響していると考えられています。さらに、障害年金の財源問題も絡んでおり、制度の適正運用を重視する流れが年々強まっています。このため、過去に比べて申請者に求められる書類の正確性や詳細な情報の提出がより厳格に求められるようになっているのです。

不支給の主な理由とその傾向

障害年金の不支給理由としては、大きく3つの傾向が見られます。まず第一に、「診断書の内容が申請者の実態と合っていない」ことです。診断書には、日常生活にどれだけ支障があるかが記載されますが、症状が軽く記載されると、審査側は「障害年金を支給する必要はない」と判断してしまいます。次に、「初診日の証明ができない」ケースも多く見られます。障害年金の申請では初診日が重要なポイントとなるため、証明できない場合は支給対象外となるリスクが高まります。そして三つ目は、「就労状況の説明不足」です。働いている場合でも、支援や配慮が必要な状況であれば障害年金の対象となり得ますが、適切な説明がされていないと「就労できている=障害が軽い」と誤解される可能性があるのです。

社会的な影響と受給希望者への影響

障害年金の不支給が増加することは、単に個々の申請者にとどまらず、社会全体にも大きな影響を及ぼしています。例えば、障害を持ちながら十分な支援を受けられない人が増えることで、生活困窮者が増加したり、精神的負担が社会問題化する恐れがあります。また、不支給になった人が異議申立てや再申請を繰り返すことで、行政コストも膨らみます。申請者にとっても、「なぜ不支給になったのかわからない」という不安感が強くなり、再チャレンジを諦めてしまうケースも見受けられます。そのため、今後は申請者側も正確な知識を持ち、適切な準備をすることがますます重要になってくるでしょう。

障害年金の不支給となった具体例とその対策

ここでは、実際に障害年金の申請が不支給となった事例を3パターンご紹介します。どのケースにも共通するのは、事前に正しい対策を取っていれば防げた可能性があった点です。それぞれの失敗例と対策を知り、自分の申請時に活かしましょう。

診断書の記載内容が実態と乖離していたケース

うつ病を患っていたAさんは、日常生活に著しい支障がある状態だったにもかかわらず、診断書の記載では「おおむね自立できている」と記載されていました。そのため、障害の程度が軽いと判断され、不支給になってしまいました。
このようなケースを防ぐためには、診断書を作成する際に医師に自分の日常生活の困難さをしっかり伝えることが重要です。また、診断書の内容を事前に確認し、実態とズレがないかを確認する作業も欠かせません。場合によっては、社労士など専門家のサポートを受けて、医師との橋渡しをしてもらうのも有効な方法でしょう。

就労状況が正確に伝わっていなかったケース

双極性障害を抱えるBさんは、障害者雇用で週3回・短時間勤務をしていましたが、申請時にその事情を詳細に説明しなかったため、普通に働けていると判断され不支給になりました。
就労している場合でも、「どのような支援を受けながら就労しているか」「どの程度の制限があるか」をきちんと伝えることが重要です。勤務時間や業務内容、勤務にあたって必要な配慮事項なども具体的に申立書に記載し、診断書にも反映してもらうと誤解を防ぐことができます。

初診日の証明が不十分だったケース

発達障害と診断されたCさんは、初診日が20年以上前であったため、当時の医療機関のカルテが廃棄されており、初診日の証明ができずに不支給となりました。
このような場合でも、他の資料(母子手帳、学校の健康診断記録、通院歴を示す領収書など)や、家族や当時の医療関係者の証言を集めることで、初診日を立証できる可能性があります。証明資料は一つに限らず、複数の証拠を組み合わせて提出することで、説得力を高めることができます。

自分が不支給にならないための対策方法

障害年金の申請では、たとえ障害の状態が重くても、申請内容に不備があると不支給になってしまうことがあります。ここでは、申請前にできる具体的な対策方法について詳しく解説します。正しい知識と準備を整えることで、受給成功の可能性を高めましょう。

申請書類の正確な記入と必要書類の準備

障害年金の申請では、申請書、病歴・就労状況等申立書、診断書など、さまざまな書類を提出する必要があります。中でも、病歴・就労状況等申立書は、障害の経過や現在の生活状況を詳しく伝える重要な書類です。しかし、内容に矛盾があったり、記載漏れがあると、審査で不利に働く可能性が高まります。
正確な記入のためには、発症から現在までの経過を時系列で整理し、医療機関の受診歴や就労状況を一貫して記載することが大切です。初診日がいつか、どの医療機関を受診したかといった情報も、曖昧にせず具体的に記載するようにしましょう。必要書類も早めに確認し、提出漏れがないように注意してください。

医師との連携と診断書の内容の重要性

診断書は障害年金の審査において、最も重要な書類の一つです。しかし、医師が患者の生活実態を十分に把握していない場合、実際よりも軽い障害状態が記載されてしまうことがあります。そのため、診断書作成時には、自分が日常生活でどのような支障を抱えているか、どの程度の支援が必要なのかを、具体的に医師に伝えることが不可欠です。
また、診断書の各項目(例えば、食事、身辺処理、外出など)について、自立の程度が適切に評価されているか、提出前に社労士など第三者と一緒に確認することもおすすめです。万が一、記載ミスや不備が見つかった場合は、早めに修正依頼を行いましょう。

専門家(社労士)への相談を積極的に活用する

障害年金の申請は複雑であり、自分だけで正確に準備するのは難しい場合もあります。特に、初めて申請する場合や、病状が複雑な場合には、障害年金に詳しい社会保険労務士(社労士)への相談を積極的に活用することをおすすめします。
社労士は、書類作成のアドバイスだけでなく、医師への説明サポートや、不備があった場合のリカバリー策も提案してくれます。また、申請に必要な証拠集めや、異議申立ての手続きサポートも依頼できるため、結果的に受給成功の可能性を大きく高めることができるでしょう。費用はかかりますが、将来的な安定収入を得るための重要な投資と考えるべきです。

不支給通知を受け取った場合の対応策

万が一、障害年金の申請で不支給通知を受け取ったとしても、まだ諦める必要はありません。不支給となった理由を正しく理解し、適切な手続きを踏むことで、再度受給できる可能性があります。ここでは、不支給後に取るべき具体的な対応方法について解説します。

不支給通知の内容を正しく理解する

まず最初に行うべきことは、不支給通知に記載されている「不支給理由」を正確に読み取ることです。通知書には、なぜ不支給となったのかが簡潔に書かれていますが、専門用語が使われている場合もあり、一般の方には分かりにくいことがあります。このため、内容を正確に理解するために、社労士などの専門家に確認してもらうのも一つの方法です。
不支給理由が「障害の程度が認められない」なのか、「初診日が証明できない」なのか、それとも「書類不備」なのかによって、今後の対応方針が大きく変わります。自己判断で動いてしまうと、余計に状況が悪化する場合もあるため、まずは冷静に内容を把握することが大切です。

異議申立ての手続きと成功させるコツ

不支給に納得できない場合は、「審査請求(異議申立て)」を行うことができます。これは、不支給決定に対して不服申し立てをする正式な手続きで、原則として通知を受け取った日から60日以内に行う必要があります。
異議申立てでは、単に「不支給に納得できない」と訴えるだけではなく、なぜ支給されるべきかを証明する追加資料の提出が重要になります。たとえば、より詳しく症状を説明した追加診断書や、日常生活の困難さを証明する第三者の意見書などが有効です。書類を補強することで、再度審査側に障害の実態を理解してもらえる可能性が高まります。
異議申立ての際も、できれば社労士に相談し、専門的なサポートを受けながら進めると成功率が上がるでしょう。

再申請時に押さえておきたいポイント

異議申立てが認められなかった場合でも、再度障害年金の申請(再請求)を行うことが可能です。再申請においては、前回の申請で不足していた部分や、誤解されてしまったポイントをしっかりと補強することが重要になります。
具体的には、診断書の再取得を依頼し、病状の進行や生活状況の悪化を正確に反映させた上で、新たな申立書を作成します。また、日常生活での困難さを証明するために、福祉サービス利用状況や就労支援記録などの資料も積極的に提出するとよいでしょう。
再申請では、過去の申請データも参照されるため、単なる繰り返しではなく「前回よりも説得力のある資料作り」がカギとなります。焦らず、丁寧な準備を心がけてください。

まとめ

障害年金の不支給は、決して珍しいことではありませんが、その多くは申請時の準備不足や書類の不備によって引き起こされています。本記事で紹介した不支給事例や対策方法を参考に、診断書の記載内容や初診日の証明、就労状況の説明など、あらゆる面で注意深く準備を進めることが大切です。また、万が一不支給通知を受け取った場合でも、異議申立てや再申請によって受給を目指す道は残されています。一人で抱え込まず、社労士などの専門家の力を借りながら、確実に受給を目指していきましょう。適切な知識と行動が、あなたの未来を大きく支えるはずです。

この記事を書いた人
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丸橋 俊博

世田谷区でNO.1の実績!豊富な経験で障害年金の申請をサポートをしている社労士です。

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