障害年金の基礎知識

障害年金を多くもらうには?申請のコツと注意点を徹底解説

障害年金は、生活を支える重要な制度ですが、正しく申請しなければ十分な額を受給できないことがあります。実際には、申請内容や書類の準備によって受給額が大きく変わるケースもあります。

本記事では、障害年金をできるだけ多く受給するためのポイントや、申請時に気をつけるべき点を詳しく解説します。支給額を増やすための具体的な方法や、成功事例なども紹介するので、障害年金を申請する予定の方はぜひ参考にしてください。

こちらの記事でわかること

障害年金を多くもらうために知っておくべき基本

障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に支障をきたした場合に支給される公的年金制度です。しかし、受給額は申請の方法や書類の内容によって変わるため、まずは障害年金の仕組みを正しく理解することが重要です。

障害年金の種類と支給額の決まり方

障害年金には 障害基礎年金障害厚生年金 の2種類があります。

障害基礎年金

国民年金 に加入していた人が対象で、主に 自営業者・無職・学生 などが受給できます。

障害厚生年金

厚生年金 に加入していた人が対象で、 会社員や公務員 だった人が受給できます。

支給額は 障害等級 によって決まり、等級が重いほど受給額が増えます。また、厚生年金に加入していた期間が長いと受給額も増えるため、申請時にこれらの要素を最大限活用することが重要です。

障害等級による受給額の違い

障害年金は 障害等級1級、2級、3級 のいずれかに該当することで支給されます。

1級

日常生活がほぼ介助なしでは難しく、常に支援が必要なレベル

2級

日常生活に著しい制限があり、支援が必要なレベル

3級(障害厚生年金のみ)

労働に支障があり、通常の業務を行うことが難しいレベル

等級が1つ上がると、年間の受給額が数十万円単位で増えるため、診断書の書き方が非常に重要になります。

障害年金の受給額を増やすためのポイント

障害年金の受給額は、申請内容や書類の準備によって変わることがあります。以下のポイントを押さえて、支給額をできるだけ増やす方法を解説します。

診断書の内容を適切に作成する重要性

障害年金の等級は 診断書の記載内容 に大きく左右されます。医師が記入する診断書には、日常生活での困難さ仕事ができるかどうか などの情報が詳細に書かれますが、この内容が障害の実態より軽く書かれていると、本来受給できるはずの等級より低く認定されることがあります。

適切な診断書を作成するためのポイント

  • 障害の状態を具体的に伝える:医師に日常生活での困難な場面を詳しく説明する
  • 実態に合った記載を依頼する:通院記録や介護記録などを活用し、適切な記載をお願いする
  • 第三者の証言を活用する:家族や介護者からの意見書を添付することで、状況を補強する

初診日の証明を確実に取得する方法

障害年金を申請する際に 「初診日」 が非常に重要になります。初診日とは、障害の原因となった病気やケガで 最初に医療機関を受診した日 のことです。初診日が正しく証明できないと、申請が認められない可能性があります。

初診日を証明するための方法

  • 受診した病院のカルテや診療記録を取得する(最も確実な方法)
  • 健康保険の受診履歴(レセプト)を活用する(病院が閉院している場合)
  • 第三者証明を利用する(家族や知人が証言書を作成する)

初診日の証明ができずに申請が通らなかったケースもあるため、早めに準備することが大切です。

障害厚生年金と障害基礎年金の違いを理解する

障害厚生年金は、障害基礎年金よりも受給額が多い という特徴があります。これは、会社員や公務員として 厚生年金に加入していた期間の給与額 に応じて計算されるためです。

受給額を増やすためのポイント

  • 厚生年金の加入期間を確認する:長期間加入していた場合、受給額が増える可能性がある
  • 就業中の障害でも厚生年金が適用されるか確認する:在職中に障害を負った場合は厚生年金対象となることが多い

特に、障害厚生年金の3級 は、障害基礎年金にはないため、会社員や公務員だった方は厚生年金の適用があるかを確認しましょう。

配偶者・子どもの加算を活用する

障害年金には、一定の条件を満たすと加算が適用される制度 があります。

加算が適用されるケース

  • 障害基礎年金を受給する場合:18歳未満(または障害がある20歳未満)の子がいると、子の加算 が適用される
  • 障害厚生年金を受給する場合:配偶者(65歳未満)を扶養していると、配偶者加給年金 が適用される

この加算制度を活用すると、年間で数万円から十数万円の受給額増加が期待できます。

申請で失敗しないための注意点

障害年金の申請は、少しのミスや見落としが 受給額の減少不支給 につながることがあります。申請で失敗しないために、特に注意すべきポイントを解説します。

診断書の書き方による障害等級の影響

障害年金の支給額は 障害等級 によって決まりますが、その等級を判断する最も重要な書類が 診断書 です。診断書の内容次第で、本来受給できるはずの等級よりも低く認定されてしまうことがあるため、作成時に細心の注意を払う必要があります。

診断書で気をつけるべき点

  • 実際の生活の困難さを具体的に記載する
    • 例:「一人で外出ができない」「食事や着替えに介助が必要」など、詳細な情報を伝える
  • 病名だけでなく症状の影響を明確にする
    • 例:「精神疾患のため、就労が難しい」「歩行困難のため日常生活に介助が必要」など、病気の影響を強調する
  • 医師に障害年金の目的を理解してもらう
    • 医師によっては、診断書を一般的な診療の視点で記入し、障害の影響を過小評価してしまうことがある

申請前に診断書の内容を確認し、もし不明点や不足点があれば 修正を依頼することも重要 です。

申請時のよくあるミスと対策

障害年金の申請では、以下のようなミスが 支給額の減少や不支給 につながる可能性があります。

よくあるミス影響対策
初診日の証明が不十分申請が却下される可能性診療記録やレセプトを準備する
診断書の内容が軽く書かれている本来より低い等級で認定される医師に詳細な状況を説明し、修正を依頼
書類の不備や不足申請が遅れる、審査が通らない必要書類を事前にチェック
申請時に詳細な説明を省略不支給の可能性が高まる生活状況や症状をできるだけ詳細に記載

提出前にもう一度チェックすることが重要 です。特に、診断書の内容や初診日の証明については、見落としがないかしっかり確認しましょう。

必要な書類を揃えるための準備

障害年金の申請には、多くの書類が必要になります。スムーズに申請を進めるために、事前に準備を整えておきましょう。

主な必要書類

  1. 診断書(指定のフォーマットで作成)
  2. 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)
  3. 病歴・就労状況等申立書(日常生活の困難さを詳細に記載)
  4. 年金手帳または基礎年金番号通知書
  5. 住民票や戸籍謄本(必要な場合)
  6. 所得証明書(場合によって必要)

事前準備のポイント

  • 診断書の内容を確認し、不明点があれば医師に修正を依頼する
  • 初診日の証明が難しい場合は、健康保険の受診履歴や第三者証明を検討する
  • 不明な点がある場合は、年金事務所や専門家(社労士)に相談する

障害年金の申請は、準備が不十分だと支給までに時間がかかったり、受給できる額が減る可能性があります。申請前に必要書類をしっかり揃え、慎重に進めることが大切です。

障害年金の申請成功事例

障害年金の申請では、診断書の内容初診日の証明 によって結果が大きく変わります。実際に、適切な対応をすることで 受給額が増えたり、等級が上がった事例 もあります。ここでは、障害年金の申請に成功したケースをいくつか紹介します。

事例1:診断書の内容を見直し、障害等級が上がったケース

状況

Aさん(40代・男性)は、精神疾患による障害年金を申請しましたが、当初の診断書には 「日常生活にある程度の支障があるが、家族のサポートで生活できる」 との記載があり、障害基礎年金2級に認定されました。しかし、実際には 一人での外出が困難で、食事や入浴などにも介助が必要 な状態でした。

対策

Aさんは社労士に相談し、医師と面談したうえで 診断書の記載内容を見直し、日常生活での困難さをより具体的に記載 してもらいました。また、家族からの補足書類を提出し、実際の生活状況を詳しく伝えました。

結果

再審査の結果、障害等級が1級に変更され、年間の受給額が大幅に増加 しました。

ポイント

  • 診断書の記載内容が障害の実態を適切に反映しているかを確認する
  • 医師と相談し、必要に応じて診断書の修正を依頼する
  • 追加資料(家族の証言など)を活用して、より正確な状況を伝える

事例2:初診日の証明が取れず、一度不支給になったが再申請で受給成功

状況

Bさん(30代・女性)は、持病の悪化により障害年金を申請しましたが、初診日の病院がすでに閉院しており、証明を取得できなかった ため、不支給となりました。

対策

Bさんは、以下の方法で初診日を証明しました。

  1. 健康保険のレセプト(診療報酬明細書) を取得し、過去の受診履歴を確認
  2. 他の病院のカルテ(当時の紹介状が残っていた)を活用して証明
  3. 家族からの証言 を提出し、当時の通院状況を補足

結果

初診日が証明され、再申請で障害年金の支給が決定 しました。

ポイント

  • 病院が閉院していても、健康保険の記録や他院の紹介状などを活用できる
  • 家族や知人の証言も参考資料として提出できる
  • 不支給となっても諦めず、再申請を検討する

事例3:配偶者加算を活用し、受給額が増えたケース

状況

Cさん(50代・男性)は、障害厚生年金の3級を受給していましたが、受給額が思ったより少なく、生活に不安を感じていました。

対策

Cさんは、65歳未満の扶養配偶者がいる場合に「配偶者加給年金」が加算される ことを知らず、申請していませんでした。年金事務所に確認したところ、対象者であることが判明し、追加申請を行いました。

結果

配偶者加給年金が適用され、年間の受給額が約22万円増加 しました。

ポイント

  • 障害年金には 加算制度(配偶者・子ども加算) があることを理解する
  • 年金事務所で加算対象になるか確認し、申請漏れを防ぐ

まとめ:障害年金を多く受給するために大切なこと

障害年金は、適切な手続きを踏むことで 受給額を最大化 できる可能性があります。しかし、診断書の記載内容や初診日の証明、申請時の書類の不備など、細かなミスが原因で本来もらえるはずの額を受給できないことも少なくありません。そのため、しっかりと準備し、制度を理解した上で申請することが重要 です。

この記事を書いた人
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丸橋 俊博

世田谷区でNO.1の実績!豊富な経験で障害年金の申請をサポートをしている社労士です。

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