近年、成人してから発達障害がわかる人が増えている
最近成人してから発達障害と認定されることが多くなっています。会社に勤め
ていた人で高学歴で研究職の人が今までは自分の研究に没頭していればよかっ
たが、管理職になって部下を持つようになったが、部下の想いをなかなか理解
できず、部下から不信感を持たれて、そっぽを向かれたとか、他部門との意見
調整が出来ずに会議中にパニックになって、上司からおかしいのではと疑問を
持たれて精神科に受診するケースによく遭遇します。
または、就労するが長続きが出来ず、1~2年以内に退職し、その繰り返しの
方もおられます。
実際にあった成人男性の発達障害のご相談
ご依頼者に付き添って医師のところに行ったところ、『この人は長期に勤めはできないものの、就労は出来ている。これくらいの人は診断書はかけないよ』と
言われました。
確かに以前は発達障害の人は年金が通り難いことはありましたが、最近はずいぶん改善されています。
そのことを申し上げましたが、中々聞いてもらえずに、1年くらいその病院に通ったことがありました。
その結果、年金の診断書をやっと書いていただき、認められた事があり、主治医も認識を新たにしていただいた経験があります。
成人の発達障害は世間で認知されていないケースが多い
障害年金について、「発達障害だと、障害の程度が軽いとされて受給できない
」
「仕事をしている人は、受給の対象とならない」
という誤解をお持ちの方は少なくありません。
しかし、発達障害の特性により日常生活や働くことに支障がある場合には、障害年金を受給できる可能性があります。
また、就業中の方であっても、障害により仕事に困難さが出ている場合には、対象となることが
あります。
発達障害は先天性の脳機能の障害ですが、先ほど解説したように障害年金はケガや病気だけでなく、生まれ持っての病気などによる障害がある方にも支給されます。
つまり、発達障害による生活や仕事上の困りごとが支給の要件を満たすと判定されれば、発達障害でも障害年金や障害手当金を受け取ることができます。
発達障害で障害年金が受け取れる基準は?
では、発達障害による困りごとが要件を満たすかどうか、どのような基準で判
定されるのでしょうか。基準となる障害等級について、次に解説します。
発達障害の障害等級
「障害等級」とは、厚生労働省が定めた障害の程度を認定するための基準です。
等級は医師の診断書に記載されている症状や、日常生活の能力・労働の能力などにより総合的に判断されます。
なお、障害者手帳にも障害の程度に応じて等級がありますが、障害者手帳と障
害年金とは別の制度であり、等級の判定方法も異なるため、混同しないよう注
意しましょう。
制度が異なりますので、障害者手帳を取得していない方でも、条件が合致していれば、障害年金の対象になります。
障害の程度:1級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
障害の程度:2級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
障害の程度:3級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
上記に該当しない場合でも、障害年金を諦めないでください!
障害の特性により日常生活や労働に大きな支障が出ている場合は、その度合いにより等級が定められます。
例えば、「感覚過敏(匂いや音、光などに対する敏感さ)による制限がある」「臨機応変な対応が苦手で常時管理や指導が必要
」「コミュニケーションが難しく他従業員とのやりとりができない」など、働くうえでの困難さが認められた場合などです。
等級の判定は、医師の診断書に基づいて行われるため、診断書に「障害の特性によって生活や就労に制限がされていること」についてしっかりと記載されていることが重要です。
二次障害として精神疾患(ただし、障害等級の認定対象となる精神疾患に限る)が併発している場合には、発達障害と精神疾患の両方の症状を総合的に判断して、障害等級が認定されます。
一度等級が認定されても、認定時よりも症状が悪化したり、逆に軽減したりした場合には、等級が変わる可能性もあります。
悪化した場合には、現在よりも
上位の障害等級の認定を請求する「額改定請求」という手続きをすることができます。
軽減した場合、障害年金・障害給付金の対象外となることがあります。