障害年金の基礎知識

障害年金っていくら貰えるの? 受給額の決まり方を解説

障害年金は、身体的または精神的な障害によって生活や仕事に著しい制限を受けている方が受け取ることができる重要な給付です。
しかし、その受給資格、計算方法、申請手続きは非常に複雑で、多くの人にとって理解しにくいものです。

本記事では、障害年金の基本的な概要、支給条件、受給額の計算方法、さらに申請方法について詳しく解説します。

こちらの記事でわかること

障害年金の種類について

障害年金には主に二つの種類があります。
これらは障害の程度と被保険者の状況に基づいて決定されます。

障害基礎年金

この年金は、国民年金に加入しているすべての人が対象となります。
これには自営業者、アルバイト、学生、そして厚生年金加入者の配偶者(第3号被保険者)が含まれます。
障害基礎年金の支給は障害の程度(1級、2級、3級)によって異なり、障害の程度が重いほど支給額が多くなります​​​​。

障害厚生年金

厚生年金保険に加入している人が対象です。
障害厚生年金の受給資格や支給額は、被保険者の障害の程度、18歳未満の子どもの有無、配偶者の有無、障害認定日までの給与額と厚生年金の加入期間などによって決まります。
障害厚生年金は障害基礎年金よりも複雑な計算が必要とされることが多いです​​​​。

これらの障害年金は、障害者が経済的な支援を受けるための重要な手段ですが、受給資格や申請方法は非常に複雑です。
個々の状況や障害の程度によって受給できる年金額が大きく異なるため、具体的な申請方法や計算については専門家に相談することが推奨されます。

支給額について

支給額の詳細については、障害基礎年金と障害厚生年金で異なります。

障害基礎年金の支給額

障害等級支給額
1級993,750円(+子の加算)
2級795,000円(+子の加算)

障害基礎年金の支給額は、障害の程度(1級、2級、または3級)と、受給者の家族構成(特に18歳未満の子どもの有無)によって決まります。
たとえば、1級の障害基礎年金の場合、年間993,750円(が支給されます。
受給者に18歳未満の子どもがいる場合、子ども1人につき年金額が増加します。

人数加算金額
第1子、第2子1人につき228,700円
第3子以降1人につき76,200円

 

障害厚生年金の支給額

等級支給額
障害厚生年金障害基礎年金
1級報酬比例の年金額×1.25+

 

(配偶者の加給年金)

障害基礎年金1級

 

993,750円

2級報酬比例の年金額+

 

(配偶者の加給年金)

障害基礎年金2級

 

795,000円

3級報酬比例の年金額

 

(最低保障額596,300円)

 
障害手当金

 

(一時金)

報酬比例の年金額×2

 

(最低保障額1,192,600円)

障害厚生年金の支給額はより複雑です。
報酬比例の年金額といい、こちらは障害の程度に加えて、18歳未満の子どもの有無、配偶者の有無、障害認定日までの給与額、および厚生年金の加入期間によって決まります。
障害の程度が重ければ重いほど、また、家族構成や給与額が多ければ多いほど、支給額は増加する傾向にあります。
ただし、具体的な計算式は非常に複雑で、個々の状況に応じて異なります​​​​。

これらの支給額は概算であり、個々の状況によって異なるため、正確な支給額を知るためには年金事務所や専門家への相談が必要です。
また、障害年金の受給資格や申請方法も複雑で、専門的な知識が求められるため、詳細な情報を得るためには年金事務所への直接の問い合わせや専門家の助言が役立ちます。

配偶者加給年金

配偶者加給年金は、厚生年金制度の一部で、厚生年金の受給者が配偶者を支援するための追加的な支給を受けられる制度です。
この制度は、受給者が配偶者とともに安定した生活を送ることを支援する目的で設けられています​​。

支給対象者

配偶者加給年金の支給対象者は、企業や団体等に雇用されている厚生年金の第2号被保険者です。
特に、厚生年金の加入者が65歳に達したとき、または65歳未満でも特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」の支給開始年齢に達したときに、特定の条件を満たしている場合にこの制度が適用されます​​。

受給条件

配偶者加給年金を受け取るための主な条件は以下の通りです:

  • 厚生年金の加入期間が20年以上あること。
  • 生計を維持されている65歳未満の配偶者がいること。ただし、大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません​​​​。

支給額

基本額は、配偶者がいる人に対して年間約22万4,700円が支給されます。
さらに、受給者の生年月日に応じて「特別加算」という加算があり、これによって配偶者の加給年金額に3万3,200円~16万5,800円が特別加算される仕組みがあります​​。

注意点

配偶者加給年金は、配偶者が65歳になると通常打ち切られます。
この時、配偶者が年金を受け取り始めると、配偶者本人の老齢基礎年金に対して「振替加算」という加算がつきます。
振替加算は、加算を受ける人の生年月日によって異なります​​。

手続き

配偶者加給年金を受け取るためには、所定の手続きを済ませる必要があります。
これには、老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届、受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、加給年金の対象者(配偶者や子)の所得証明書などが必要です​​。

配偶者加給年金は、厚生年金の被保険者が配偶者とともに適切な生活を送るための一助となる貴重な制度であり、条件を満たす場合には受給する価値があります。
ただし、具体的な計算や申請方法は複雑なので、詳細な情報や支援を得るためには年金事務所や専門家の助言が役立つでしょう。

障害手当金

障害手当金は、障害の程度が比較的軽い方に支給される一時金の制度です。
これは、障害厚生年金の対象外となる方々にとって重要な経済的支援を提供するためのものです​​。

受給条件


障害手当金を受けるための主な条件は以下の通りです。

  • 初診日に厚生年金保険に加入していることが必要です。
  • 保険料納付要件を満たしている必要があります。これは、加入期間中の保険料納付済み月数や免除月数が3分の2以上、または過去1年間に滞納がないことで判断されます。
  • 初診日から5年以内に病気や怪我が治癒し、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残った場合に支給されます​​​​。

支給額と計算方法

障害手当金の支給額は、報酬比例額を基に計算されます。
この報酬比例額は、本来水準額と従前保障額の高い方を選び、その額の200/100に相当する金額が支給されます。
計算には平均標準報酬月額や被保険者期間の月数が用いられ、これらの数値は毎年度再評価されます。

報酬比例額が一定額に満たない場合は、最低保障額1,192,600円が設定されています​​。

申請方法と必要書類

障害手当金の申請には、初診日の証明、障害の程度や状態を示す医師の診断書、保険料の納付状況を証明する書類などが必要です。
障害年金の申請書類と同様ですが、障害手当金専用の請求用紙は存在しません。
申請は最寄りの年金事務所に提出する必要があります​​。

注意点

申請書類に不備がある場合や、医師の診断書が不適切である場合、または申請から一定期間が経過してしまった場合は、障害手当金の受給資格を失う可能性があります。

この記事を書いた人
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丸橋 俊博

世田谷区でNO.1の実績!豊富な経験で障害年金の申請をサポートをしている社労士です。

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