障害年金の基礎知識

障害年金専門の社労士が教える『障害年金不服申し立て完全マニュアル』

障害年金不服申し立て完全マニュアル

障害年金は、障害を持つ個人が経済的なサポートを受けるための重要な制度です。
しかし、申請の内容を誤ってしまうと障害年金の申請が通らない場合があります。
ただ、その場合でも「不服申し立て」制度がありますので諦めてはいけません。

この記事では、日本の障害年金制度における不服申し立ての方法について、詳細な手順を紹介します。

障害年金の申請結果に納得がいかない場合、どのようにしてその決定に挑戦できるのか、どのような準備が必要なのか、期限はどうなっているのか、そして不服申し立てが受理された後に何が起こるのかを知りたい方はご覧ください。

こちらの記事でわかること

障害年金の不服申し立てについて

障害年金とは何か

障害年金は、障害を持つ個人が経済的な困難に直面した際に支援を受けるための社会保障制度の一環です。この制度は、障害によって労働能力が制限されるか、あるいは仕事ができない状態の場合に、経済的な補償を受けることができます。
障害年金の支給は、障害の種類、重度、そして障害を負う前の保険料の納付状況などに基づいて決定されます。

不服申し立ての概要

不服申し立てとは、障害年金の支給決定に対して異議を唱え、再検討を求める法的なプロセスです。
障害年金の申請者が提出した申請に対する決定(例えば、支給額の減少や支給の拒否)に満足できない場合、定められた期限内に不服申し立てを行うことができます。

なぜ不服申し立てが必要なのか

不服申し立てが必要な理由は、障害年金の決定が常に個々の事情や障害の実態を完全に反映しているとは限らないためです。
誤った情報、不十分な医療証拠、あるいは評価の過程での誤解が、不適切な決定に繋がる可能性があります。
不服申し立てを行うことで、申請者は自身の状況やニーズに基づいて適正な判断を受ける機会を得ることができます。

障害年金の不服申し立ての基礎知識

不服申し立ては、支給額や、支給却下などの決定に不満を持った場合に行うこと対して異議を唱えることができる、正式に認められた制度です。

不服申し立てを行うためには、以下の条件を満たす必要があります。

期限は3ヶ月以内

審査請求は、必要な情報を含む書面(審査請求書)を記入し、処分が通知された日から始まり、3か月以内に、該当する行政機関に提出しなければなりません。
再調査の請求も同様ですが、再調査の請求に対する決定が出た場合、その決定通知の日から1か月以内に審査請求を行う必要があります。

不服申し立てに必要な書類と記載する項目

審査請求書の書式に指定はありませんが、具体的な要件や書式については、審査請求を行う行政機関などのホームページにてダウンロードできるので、事前に確認しておくことをお勧めします。

必要的記載事項

  • 審査請求人の氏名(又は名称)及び住所(又は居所)
  • 審査請求に係る処分の内容
    審査請求に係る処分(再調査の請求についての決定を経た後に審査請求をする場合には、その決定)があったことを知った年月日
  • 審査請求の趣旨及び理由
  • 処分庁の教示の有無及び教示の内容
  • 審査請求の年月日

書類のダウンロード・書き方例

東京都・世田谷区用の書類はこちら

書き方の例はこちら

 

障害年金の不服申し立てを成功させるポイント

障害年金の不服申し立ての成功率はおよそ10%程度と言われています。確率は低いかもしれませんが、申し立てが認められれば希望の金額を受け取ることができるようになるため、成功した場合のメリットは非常に大きいです。

ただし、不服を申し立てる機会は審査請求と再審査請求を含めて2回限りです。
申し立てをする際には、単に認定基準を理解するだけでなく、保険者が行った審査内容を正確に把握し、適切な反論を行うことが必要です。

そのため、通常は障害年金に精通した社会保険労務士に相談することを推奨します。
しかし、自分で審査請求を行いたいという方のために、ここでは最低限知っておくべきポイントをまとめてお伝えします。

自分が認定基準を満たしているかを明確にする

「趣旨及び理由」の欄には、「自分の障害がどの認定基準に該当するのか」を書くことが大切です。

認定基準とは、それぞれの症状に応じた具体的な基準のことです。
たとえば、障害等級3級の基準では、労働に大きな制限があることが挙げられていますが、これだけでは3級の認定は受けられません。
自分の傷病が、病気ごとに定められた具体的な基準に合致していることが必要なんです。
精神障害であれば精神障害の基準に、身体障害であれば身体障害の基準に当てはまるかどうかを明確に示す必要があります。

そして、提出する内容は客観的なものでなければなりません。
通常は診断書の内容を基にして、自分の主張を構築します。
たとえば、「私の障害は左下肢にあり、診断書には左下肢の筋力が著しく低下していると記載されています。この状態は下肢障害の認定基準で2級に相当する『一下肢の機能を完全に失った状態』に該当するため、私の障害は2級に該当する」といった具体的な記述を行います。

不利益であることを主張する

認定基準に合致していることを訴えた後、不利益な処分に対する反対意見を改めて主張する必要があります。
「なぜ自分の請求が認められなかったのか」「なぜ等級が引き下げられたのか」という理由を明確に理解することが不可欠です。

2020年(令和2年)4月以降、処分の理由は処分通知書に記載されるようになりました。
しかし、それが不明確な場合は、厚生労働省の情報公開室に開示請求をすることが可能です。
開示請求には身分証明書、住民票、300円の手数料が必要になります。

手続きの方法は、厚生労働省の公式ウェブサイトで「保有個人情報 開示」と検索すると、記載例や請求書のダウンロードが可能です。必要書類を準備したら、厚生労働省大臣官房総務課公文書監理・情報公開室への郵送を行いましょう。

開示される情報を取り寄せるのには約1ヶ月かかることがあるので、開示請求を考えている場合は、できるだけ早めに手続きを始めることが肝心です。

追加資料も用意するとより良い

審査請求の際には、基本的に既に提出された資料を元に再審査が行われますので、新たに診断書を追加しても、それが審査の結果に大きく影響を与えることは少ないですね。

ただし、たとえば年金が支給されなかった理由が「仕事をしていたから」とされた場合、その時期に実際には働いていなかったことを示す出勤簿などの資料を提出することで、事実関係の裏付けとすることはできます。

しかし、こうした追加資料は必ずしも必要なわけではなく、どんな資料を用意すればよいかについての決まりもありません。そのため、必要な資料は状況に応じて自己判断で用意する必要があります。

さらに、審査請求を行うにあたって、新たに診断書をより重い内容で書き直してもらったり、医師に「診断書にはこう書かれているが、実際の症状はもっと重い」という追記をしてもらったとしても、それらは後から追加された資料と見なされるため、参考にされない可能性が高いです。

障害年金の不服申し立てを成功率を上げる方法

上記でも述べたように、障害年金の不服申し立ての成功する可能性は1割程度となっております。
成功しない理由としては、不利益の主張やアピールするための資料不足などが考えられます。
この部分はご自身だけではなく第三者の目線、そして不服申し立ての経験などが必要とされます。

そこで、成功率を上げるには障害年金の不服申し立てに強い社労士事務所を利用することです。

面倒な資料集めなどは協力してもらえ、書類の書き方などのアドバイスももらえます。
成功すると受給額が数百万変わる可能性もありますのでぜひ試してみてはいかがでしょうか?


この記事を書いた人
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丸橋 俊博

世田谷区でNO.1の実績!豊富な経験で障害年金の申請をサポートをしている社労士です。

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