障害年金を受給していることが勤務先にばれない理由
冒頭でもご説明した通り、一般的に障害年金の情報は個人情報保護の観点から機密性が重要視されており、以下のような理由により受給者の情報が公にならないようになっている考えられます。
個人情報保護:
障害年金の受給者情報は個人の健康状態や収入といったプライバシーに関わる情報です。
個人情報保護の観点から、このような情報が勤務先など第三者に漏れることは避けられるべきです。医療情報の秘匿:
障害年金の受給には医師の診療情報が関与します。
医療情報は患者のプライバシーを尊重するために秘匿されるべきです。
これにより、他者による受給者の健康情報の漏洩を防ぐことが可能です。就業差別の防止:
障害年金を受給していることがばれることで、勤務先での就業差別や偏見を引き起こす可能性があります。
これを防ぐためにも、障害年金の受給者情報は秘匿されることが重要です。社会的偏見の回避: 障害年金を受給していることが知られることで、偏見により社会的判断が行われる可能性があります。これを回避するためにも、情報の秘匿が求められます。
法的規制:
個人情報の保護に関する法的な規制や年金制度に関する法律によっても、受給者情報が漏れることが制限されている可能性があります。
また、障害年金は非課税なので年末調整や確定申告などで申告する必要もありません。
障害年金を受給していることが勤務先にばれる場合
個人情報の観点から、障害年金の受給しているかどうかは勤務先はわからないわけですが、1点だけある行動をすることでバレてしまうことがります。
気をつけないといけないポイントをご紹介します。
傷病手当金を申請した場合
障害年金受給中に「傷病手当金」を申請した場合、あなたの勤務先に障害年金の事実が知られる可能性があります。
「傷病手当金」は、疾病や怪我で労働が難しい状態になった場合、健康保険から給与の約3分の2の支給が最長1年6か月間行われる制度です。
この傷病手当金を申請する際、申請用紙には障害年金の受給事実を記載する必要があります。
この申請用紙には、会社側が記入する部分もあり、ここに障害年金の受給状況を書くことになるため、この手続きを通じて勤務先に障害年金の事実が伝わる可能性が考えられます。
もちろん、会社に障害年金の受給事実を伝えたくない場合、疾病で仕事を休んだ場合でも、傷病手当金の申請を行わなければ知られる心配はありません。
傷病手当金は通常1年6か月間しか支給されない一方、障害年金は症状が持続する限り給付が続きますし、障害年金の受給は傷病手当金の受給よりもメリットがあります。
そのため、勤務先にばれたくないのであれば傷病手当の申請はしないことをお勧めします。
ただ、傷病手当金も受けたい、受けないといけない場合は、勤務先に障害年金の受給事実を伝えておくと良いでしょう。
その後で傷病手当金の申請を検討することをお勧めします。
傷病手当と障害年金の違い
傷病手当金と障害年金は両方とも健康状態により働けなくなった際の経済的支援を提供する制度ですが内容が異なります。
以下に、これらの制度の特徴に関する4つの主な違いについて説明します。
支給期間と支給条件
傷病手当は 一般的に最長で1年6か月間まで支給されます。労働者が病気やけがにより労働ができなくなった場合に支給され、健康保険から支給されます。
一方、障害年金は障害が継続する限り支給されるため、疾病やけがの状態が長期にわたる場合に支給されます。
また、厚生年金保険から支給され、障害等級によって支給額が異なります。
支給額の算定
傷病手当金は、 基本的には給与の約3分の2が支給されますが、所得や家族の状況によって異なることがあります。
一方、障害年金:障害等級と保険料納付期間によって支給額が決まります。
障害等級が高いほど支給額も増加します。
手続きと審査
傷病手当金は、健康保険組合や社会保険事務所に申請を提出し、医師の診断書が必要です。比較的短期間の支給が主なため、審査も迅速です。
一方、障害年金は厚生年金保険組合に申請を提出し、障害等級の審査が行われます。
長期にわたる支給のため、審査には時間がかかることがあります。
給付対象
傷病手当金は、病気やけがによって労働ができなくなった場合に支給されます。
一時的な労働能力喪失に対する経済的サポートを提供します。
一方、障害年金長期にわたって労働が難しい状態が続く場合に支給されます。
障害の程度に応じた経済的支援を提供し、生活の安定を図ります。
以上の違いにより、傷病手当金と障害年金はそれぞれ異なる状況に対応するための制度と言えます。
障害年金受給がバレる? よくある誤解
コレをしてしまうと障害年金受給がバレてしまうという誤解があるのでご紹介します。
就労調査からバレる
就労調査は、障害の状態を審査する際に就労能力の有無を判断するものです。
精神的な障害の場合、診断書に就労能力に関する情報を記載することがあります。
同様に、身体的な障害でも就労の可否は障害の状態を判断する際の要因となります。
しかしながら、これらは障害の状態を評価するためのものであり、就業先に障害があることを報告するものではありません。
マイナンバーからバレる
会社は、税金や社会保険などの手続きにおいてマイナンバーを使用します。
マイナンバーは、これらの手続きを行政機関が効率的に処理するための制度です。
ただし、会社がマイナンバーを通じて行政機関から直接あなたの情報を取得することはありません。
したがって、マイナンバーを提供したことで障害年金の事実が会社に知られることはありません。
社会保険の手続きでバレる
健康保険や厚生年金などの社会保険の保険料は、あなたが会社から受け取る給与に応じて決まります。
一方、障害年金の受給額は社会保険料に影響を与えません。
したがって、社会保険の手続きに際して、会社に障害年金の受給に関する情報を提供する必要はありませんし、これによって知られることもありません。
健康診断でバレる
会社は従業員に年に1回以上の健康診断を受けるよう義務付けており、その結果は会社が管理しています。
しかしながら、会社が健康診断の結果を確認したとしても、その結果に障害年金の受給事実が含まれるわけではありません。
そのため、健康診断の結果を通じて会社があなたが障害年金を受給していることを知ることはありません。
年末調整でバレる
年末調整は、毎年年末に行われる税金の計算手続きですが、障害年金は完全に非課税の対象です。そのため、障害年金の受給に関わることはあなたの所得税とは無関係です。
したがって、年末調整の手続きによって障害年金の受給事実が会社に知られることはありません。
まとめ
今回は、勤務先に障害年金を受給していることがバレるかどうかについてご紹介させていただきました。
原則、勤務先にバレることはないのですが、「傷病手当金」を申請した際にはバレてしまいますので注意してください。
また、現在傷病手当を受けているが障害年金に切り替えを検討されている方は、障害年金専門の社労士などにご相談されることをお勧めします。